第2回 商人、去来すべきか狩るべきか

 第2回は「労働コスト」についてです。「労働コスト」というとなんやら難しい言葉ですけれども、ここでは、お金儲け(労働)をするためにかかるお金(必要経費)とか手間とか、そういったものを表現する言葉だと考えてくれればいいです。アルバイトの時給で考えると、わかりやすいですかねえ。
 たとえば、時給850円のコンビニのアルバイトがあるとします。このアルバイトでもらうお金850円にかかる労働コストは、1時間の「時間」と、その間の「労力」であるわけです。「1時間の労働」で850円をかせいだ、ということができますね。また、月給18万円のサラリーマンが、23日間毎日9時間の労働をした(残業とかは除く)とすると、「207時間の労働」で18万円稼いだことになります。

 ちょっと想像してみてください。ネコミミが1つ余っているので売りたいと思い、プロンテラ街中を歩き回ってみました。いまネコミミが売っている露店では、75,000zと82,500zの値段がついているとしましょう。さて、あなたならばいくらの値段をつけて売りますか(商人でない方は、チャットで売るものと思ってください)。ちなみに、ほしいものを買うために所持金が80,000z足りないものとします。
 @ 75,000z以下
 A 75,001zから82,500zまでの間
 B 82,501z以上
 C その他の選択肢

 さて、何番を選ぶでしょうか。80,000zがほしいのですから、80,000zの値段をつけて売るのが妥当だと考えられますね。そうすると、答えはAということになります。ファイナルアンサー?

 はい、もちろんこの問題に答えなんてありません。つけたい値段をつけて売ればいいわけなのですが、ちょっとここで考えてほしいのです。@にした場合とAにした場合とBにした場合では、一番早く売れるのは、どれでしょう? 答えは明白、@ですよね。何時間かかってそれらが売れるのかどうかはわかりませんが、たまたま買いたい人が通りかかった場合は、いちばん安いものから売れていくわけです。

 仮に、80,000zの値段をつけたとして、それが売れるのに1時間かかったとします。それに対して75,000zの値段をつけたほうは10分で売れたとします。この50分の差って、大きいと思いませんか? 50分間もファブル狩りをすれば、やわらかな毛の2つや3つは出てくれるでしょうから、それを売れば1つあたり1kから1.3kは稼ぐことができます。ほかのアイテムも出ますし、うまくすれば5,000zなんてあっという間です。そのうえ経験値も入ります。

 どっちがオトクなんでしょうか。もちろん、これは仮定の話ですので、50分ていうのは不確定ですし、案外やわらかな毛とか手に入らないであがくこともあるかもしれません。でも、「これは、この値段で売らないともうからない」などと考える前に、「いくらの値段をつければ早く売り払えるかな」と考えてみたほうが、狩りの時間も含めて、もうけがでるかもしれません。

 こういったことを無視して値段をどんどんと高くつけていくので、プロンテラ広場あたりの物価は上がる一方です。「このアイテムがほかの店でこの値段で売っているから、もう少しもうけてやろう」と欲を出す前に、ちょっと考えて! そのアイテムが露店で出っ放しになっているのは、売れないor売りづらい値段がついているからであって、適正な価格がついているからではないんですよ。無駄に時間を使うぐらいなら、もっと安い値段をつけてもうけようね。
 って思っているのですが、みなさんはどう思われますか?

 商人といっても、レベルも上げないとつまらないですし。スキルが上がれば、もっと幅の広い商売ができるようになりますからね。無駄に時間を費やしてヘタな商売をするよりは、スマートに商売をやってしまって、ROのゲーム自体を満喫しましょう。ね?
 ちなみに、AFK shopを出すことで、この労力を省くことができるわけですが……それについてはまた次回ということにいたしましょう。


次回はこれに関連して「AFK shop」についてです。


 ちなみに、本当の労働コストの算出は、時間のほかに、労働時間の中で労働者にどれぐらいの負荷がかかるかとか、業務に専門知識が必要であるかとか、そういったものも数値化して出すものですが、……さすがにそこまではねえ。ゲーム内の時間ですし。